海外事業の撤退・縮小支援サービスを始めました
海外事業の撤退・縮小支援サービス、名付けて「シンガリ」をはじめました
コロナにより世界的な渡航が難しくなり、また日本国内の事業も先行き不透明な中、
今年の頭から経営するレンタルオフィスのお客様の中でも事業撤退を進める企業が
少しずつ増えてきており、そのような方になるべくダメージを抑えて撤退・縮小のお手伝いが
できればと思い、正式に開始しています。
そもそも、海外事業の収益化はかなり難しい
実は、コロナの感染拡大が始まるよりも大分前に、実際には3年くらい前から
このようなサービスを考えていました。
なぜかというと、「海外で実際に収益が出ている企業」が非常に少なかったためです。
たとえば台湾は、最も日系企業が進出する国の一つになります。
理由としては「親日」であること、物理的な「日本からの距離」などがあげられます。
また、中国を見据えた海外展開の事業基盤として台湾に進出をする方も非常に多いのですが、
実際に展開をしてみたものの、なかなか事業が立ち上がらず店舗であれば1店舗はOPENした
ものの、その後の複数店舗にこぎつけられないというケースを多々目にしてきました。
自分の会社でも「日系企業」スタイルで進出したら利益はでない
なぜ、収益が出にくいかというと一般的な日系企業のスタイルで海外進出をすると
一番の要因は「損益分岐点」が非常に高くなってしまうためです。
日本で経営する場合と比較すると、ざっくり考えても下記のコストが割高となります。
①駐在員を派遣するコスト(住居の負担や渡航費、渡航保険など)
②駐在員が活動するための「通訳」人材の採用コストおよび給与
③経営にまつわる関連業務を日系企業に支払うコスト
①、②は想像がつきやすいと思いますが、例えば何か事業をするにあたって③は実は非常に
大きなコストとなっていて、例えば毎月の記帳、税務申告業務も日本本社に報告をする前提で
日系の会計事務所等にすべて委託をすると年間余裕で百万円単位のコストとなります。
また、例えば店舗を作る際の内装コストに関しても同様で「日本品質」にこだわりすぎる
あまりに、すべて日系企業に店舗施工を依頼すると現地企業に依頼する相場をはるかにこえる
コストとなってしまうケースが非常に多くなっています。
そうすると、戦う(営業を始める)前からたとえ現場の方々が頑張ってまぁまぁ
上手くいったとしても根本的に利益がでない体制となってしまうのです。
実際弊社でも台湾でビジネスをしていますが、いわゆる「日系企業スタイル」で経営をすると
正直会社で利益が全然残りません。。。
「損益分岐点」を下げるための涙ぐましい努力があってこそ、ようやく利益が出ています苦笑
財務リスクを考慮せずに進出しているケースも非常に多い
また、日本本社本体の「財務リスク」を考慮せずに進出をしているがゆえに、
そのあとの展開が進まないケースも非常に多く目にします。
例えば、海外に進出をする際に日本本社で金融機関から借り入れを行って、海外子会社に
出資、融資をするケースが非常に多いのですが、この場合は「出資・融資」になるので
日本本社は「減価償却費」等経費となるものがないままで元本返済をする必要がでてきます。
それでも運よく最初の出資・融資で事業が立ち上がれば良いのですが、実際には追加融資を
する必要が出るケースの方が圧倒的に多く、更に日本本社のB/Sを棄損することになります。
こうなってくると、2店舗目を出すことなど恐ろしくて到底できないのです。
「本当にその事業が必要か?」を考えて経営判断するべき
自分もそうなのですが、海外事業というのは夢も非常に大きくあると思っています。
ただし、それを無理に続けることによって本体自体がダメになってしまってはせっかく描いた
夢どころか会社全体の屋台骨を揺るがすことになってしまいます。
台湾は幸い落ち着いては来ているものの、日本の先行きはまだまだ不透明です。
であれば、もし台湾の事業が立ち上がっていない(なかなか復活の見込みも薄い)のであれば
今は撤退・縮小処理をして日本本体としては特損を出して膿を出し切った方が、これからの
経営にとっては良いのではないかと思っているのです。
(実際、私自身も台湾の店舗を本年5月末をもって1店舗縮小移転してスリム化しました)
けっしてポジティブな内容ではありませんが、こういうときこそ無理をせず事業の取捨選択を
するべきタイミングなのではないかと思っています。
もし事業の継続等で悩まれている方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。
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